大きく口を開けられない。 普段はせいぜい上下の前歯を1cmぐらいしか開けない。 それ以上に開けるのは、無理矢理の股割りを長時間強いられているような状態。
口を開けっ放しにしていることで口中に唾液がたまる。 機械で吸い取ってくれることもあるが、くれないこともある。 機械で吸い取っても全部吸い取れるわけではない。 口を開けっ放しにしていなければならないので、下顎を動かして飲み込まねばならない。 これも顎関節に負担がかかる。
そして歯科衛生士は、さっさと終わらせてしまいたい。 ちょっと苦しい、という意志を伝えても「もうちょっとですよ」などという。 「あと30秒で一旦休止」ならばまだいい。 「もうちょっと」ではいつ終わるのか、情報がない。
自分の口中での作業が見えない。 だから、例えば研磨機が舌や口内の皮膚に近づいている、なので今動くと危ない、などと いう状況か否かがわからない。なので常に舌を丸め「非常事態」として備えていなければ ならない。緊張状態が続く。 虫歯の治療はともかく、歯石取りなんぞは自分でやりたい。そうすればこれらの不満は 大分軽減される。
ぐだぐだ文句注文をつける「客」ではありたくないが、このような「治療」はガマンできない。 恐る恐る「口を大きく開けられない」というあたりから伝える。 (必要性、有用性は十分認識すれども) 歯石取りはできたらやりたくないという。 配慮する、という。 しかし、結局は「もうちょっとですよ」になった。 第一「辛かったらいってください」と言われても、作業を始めたら、結局こっちがある程度ガマン しなくちゃならない。
顎の辛さに加え、(恐る恐る伝えたものの)結局同じことになった、その無力感で一杯になる。 もう行きたくない。が行かねばならない。本来の治療の方で。 しかし、また歯石取りの長時間の苦痛にさいなまれる。
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